あなたの9割を支配する無意識を知る「しらずしらず〜あなたの9割を支配する無意識を科学する」
白地の背景に「しらずしらず」という大きな黒文字が印刷され、その上に半透明のカバーが掛けられている本書の装丁は、「しらずしらず」に読者に手をとってもらうための戦略なのかもしれません。
印象的な本書の内容は、人が9割支配されているという無意識に深く切り込む一冊です。
本書は、日常生活における「意識」の影響力の低さと、無意識の影響力の強さをたくさんの事例から説明しています。
人は普通、すべて自分の「意識」であらゆることを決めており、意識できない無意識に人生を決められているとは思いもしません。
本書ではそのような認識が全くの誤りであったことを教えてくれます。
たとえば
統計学上同じ名前の人同士が結婚する割合は極めて高いことが明らかだそうです。
すなわちスミスさんはスミスさん、ヤマダさんはヤマダさんと結婚する可能性が高いということです。
また、天気が良い日にレストランの店員が客から受け取るチップは、天気が悪い日に受け取る金額より明らかに多いそうです。
そんなのはたまたまの偶然だ!と言いたくなるような内容もありますが、たくさんの実験結果と、科学的考察を目の前にすると思わず納得してしまいます。
意識の脆弱性と、無意識のパワーを実感することができる一冊です。
本書をもとに普段意識してしていることが、実は無意識からしていることではないか考えてみるとおもしろそうです。
翻訳ビジネス書って本当におもしろいですね〜
オススメ度★5つ満点中
★★
読みやすさ★5つ満点中
★★★
印象にのこったフレーズ
「現在ではあなたの脳から収集したデータを使って、あなたがいま見ている映像を再現できるのだ」
「人間以外のほとんどの動物種は、意識による抽象的な思考の能力をほとんどあるいはまったく持っていなくても生き延びることができるし、実際に生き延びているが、それに対して無意識をもたない動物は存在しない」
「研究によれば、極めて正確な自己像を持っている人は、軽度の鬱に陥っているか自己評価の低さに悩んでいるか、またはその療法であることが多い、それに対して過度に前向きな自己評価をしている人は正常で健康である」