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知育玩具は必要か?研究が導く教育の答え「成功する子失敗する子」

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ちまたにあふれる知育玩具、早期教育教材、ならいごと・・・

 

「うちもやらないといけないかしら・・・」

 

親であれば一度は悩むことだと思います。

 

そんな子供に対する教育の問題について、様々な事例や研究成果から、「子供が成功するために重要なことはなにか」を解き明かしたのが本書です。

 

 

成功する子 失敗する子――何が「その後の人生」を決めるのか

成功する子 失敗する子――何が「その後の人生」を決めるのか

 

 

本書では、貧困層の子どもたちに主に焦点をあて、その子たちに対する教育プログラムを通じて、なにが子供の成功の要因になるかを追求しています。

 

家庭の裕福度と学歴、将来の収入には明らかな相関関係がありますが、貧困な家庭に産まれた子供がすべて将来成功できないということはありません。

 

ではその違いはなにか?

 

本書では、子供が家庭内外で受ける精神的ストレスがその原因であると説きます。

 

貧困そのものがストレスになるのではなく、貧困に伴う出来事から受けるストレスが子供の将来に影響をあたえるのです。

 

たとえば貧困な家庭に産まれた子供は、家庭崩壊、近親者の死亡、虐待、など幼少期から強い精神的なストレスを受ける可能性が高いといえます。

 

結果として貧困層の家庭に生まれた子供は成功から遠ざかることになるのです。

 

一方、仮に精神的ストレスがあったとしても、両親が子供のストレスに対し深い愛情をもってケアしていけば、その影響は将来に及ぶことはないとしています。

 

結論からいうと、子供の成功のために一番重要なのは、知育玩具や早期教育ではなく、両親が深い愛情をもって子供に関わりをもっていくこと、という点に落ち着きます。

 

結論だけ見ると「な〜んだ」と思うかもしれませんが、なんとなくそう思っていたことを数多くの事例や研究成果を根拠として知ることにより、とても安心できます。

 

子育てに悩んでいる方は一読の価値があります。

 

翻訳ビジネス書って本当におもしろいですね〜

 

成功する子 失敗する子――何が「その後の人生」を決めるのか

成功する子 失敗する子――何が「その後の人生」を決めるのか

 

 

オススメ度★5つ満点中

★★★

読みやすさ★5つ満点中

★★★

 

印象にのこったフレーズ

 

「ある研究では子供の教育に影響を与える違いは、ごく幼いうちに両親から聴いた言葉の数である、とされている」

「実行機能の能力を阻害しているのは貧困そのものではなく貧困にともなうストレスだったのである」

ペシミストは良くない出来事を、永続的、全面的、個人的なものであると考えるがオプティミストは短期的なもの、限定的なもの、特定のものだと考える」

「勤勉性は将来成果をあげるいちばんの要素である」

「深刻な心的外傷と慢性的なストレスから可能なかぎり子供を守ること。少なくともひとりの親と安定した愛情深い関係を築くこと」