翻訳ビジネス書専門書評家の読書感想文

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面白くてためになるビジネス読み物「犬はなにを見たのか」

今日紹介するのはマルコム・グラッドウェル氏の 著作。

 

同氏はアメリカの雑誌「ニューヨーカー」のエースライターです。

 

世の中の出来事を独自の視点からかく、同氏の記事の傑作選です。

 

各章ごとに短めの記事で構成されており、読み応えのある一冊です。

 

いろいろなテーマにスポットライトを当てており、面白くて為になるビジネス読み物と言えるでしょう。

 

犬は何を見たのか THE NEW YORKER 傑作選

犬は何を見たのか THE NEW YORKER 傑作選

 

 

1 人間はたいていの物事を「面白くない」と決めつける

「はじめに」で、著者は「人間はたいていの物事を面白くない」と決めつけるといいます。

 

しかし、優れたライターであるためにはそのきめつけに抗わなければいけません。

 

たいていのつまらないことのなかに、いかに面白い側面を見つけ出すかが重要です。

 

ライターでなくても、日常生活や身の回りの物事におもしろことを見つけ出すという視点は重要です。

 

人生を楽しくおもしろくすることができるほか、仕事のためにも役立つでしょう。

 

身のまわりにあることを面白い記事に仕上げる著者の文章を読んでいると、著者がこのことを実践していることがわかります。

 

2 ひとたびブラックスワンが見つかると世界がかわる

ブラックスワンというのは黒鳥のこと。

 

長年自然界には白鳥はいても黒鳥はいないと考えられてきました。

 

しかしあるとき黒鳥が発見され、生物学のそれまでの常識が覆ってしまいました。

 

この例から、ブラック・スワンというのは、起こりえないことが起きることの例えとして使われます。

 

本書ではブラック・スワンの存在が、オプション取引の危険性という観点から語られます。

 

世の中に絶対は存在しない、ということに改めて気付かされます。

 

大震災が起きて原発事故が起こるなど、ほとんどの日本人は想定していませんでした。

 

しかしそれは起きたのです。

 

同じことが明日起きないとはだれも証明できません。

 

3 交通事故は絶対になくならない?

リスク・ホメオスタシスという言葉が本書で書かれています。

 

日本語にするとリスク恒常性という言葉になり、我々は物事のリスクを常に一定に保つ傾向があるということを意味しています。

 

ある実験で、車にABSという安全機能を取り付け、取り付け前と取り付け後で事故の発生割合を調べたところ、事故発生率には変化がなかったそうです。

 

より安全になったのになぜ?と思いますが、運転手は安全機能が高まったせいで過信し、スピードを出すなど事故を誘発する行動を多くとるようになったのです。

 

このように、我々にリスク恒常性機能があることを考えると、交通事故は絶対になくならないのかもしれません。

 

この知識は、日常生活で役立つと思います。

 

リスクが減った時こそ実は注意が必要だということを知っておきましょう!

 

4 まとめ

 

以上本書は、面白くためにテーマがたくさんあります。

 

かなりボリュームのある本ですが、あっというまに読んでしまうでしょう。

 

一冊でいろいろなテーマを学びたい人にオススメです。

 

翻訳ビジネス書って本当におもしろいですね〜

 

オススメ度★5つ満点中

★★★

読みやすさ★5つ満点中

★★★

印象にのこったフレーズ要約

自己充足的な予言に注意する」

「緊張すると考えすぎ、パニックを起こすと思考が停止する」

「株式市場で小さな利益を得ようとすることは、暴落時には全てを失うリスクを冒すということである」

「客が買うのは使うためではなくギフトのためだ」 

 

  実践したい3つのポイント

  1. 日常生活に潜むブラック・スワンはなにか考える
  2. 目の前にあるモノのうち一つを調べてみる
  3. 直感で選んで失敗した経験を思い出す