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あなたはどちらの思考を使ってますか?「ファスト&スロー」(上)

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人間には二つの思考があります。

 

それぞれどのような特徴があるのか?

 

ノーベル経済学賞学者による名著がそれらをあきらかにします。

 

 

ファスト&スロー (上)

ファスト&スロー (上)

 

 

1 早い思考と遅い思考

本書は、人間には「早い思考」と「遅い思考」があるといいます。

 

一見するとよくわかりませんが、本書の冒頭でそれら思考の内容が紹介されています。

 

早い思考は、直感や、慣れている物事の判断、などの働きをします。

 

遅い思考は、論理的な考えをする、複雑な問題を解く、などの働きをします。

 

まずは前提として、人の思考には二つパターンがあることを認識しましょう。

 

これだけでも本書を読むことに意義があると思います。

 

なにか物事を判断する時、自分がどちらの思考を使っているか再確認するのです。

 

2 早い思考は間違えやすい?

なにか物事を認識した時、まず動き出すのは早い思考です。

 

早い思考は、頭に負担をかけることなく物事を判断できます。

 

その結果、自分の命を守ったり、多くのメリットをもたらします。

 

たとえば、山で歩いている時茂みからガサガサ音がした時。

 

早い思考は「熊がいるにちがいない!!」と判断し、すぐに逃げます。

 

遅い思考を使って「茂みから音がする、なにか生物がいるかもしれない、人間かな、それとも動物かな?この動きから考えると〜」などとじっくり考えていたら、熊にやられてしまいます。

 

しかしそれは同時に早い思考が、勇み足で間違った考えをする可能性も高いといえます。

 

茂みの物音は、よく聞くと山菜を取りに来た人間であいさつをしたら山菜をくれるかもしれません。

 

このように早い思考は間違いをしやすいということを知っておきましょう。

 

3 早い思考は「見たものがすべて」と考える

早い思考は見たものがすべてである、と考えます。

 

この思考がときに人間に不利な結果をもたらします。

 

例えば、飛行機の墜落事故が起きた時。

 

多くの人は、飛行機はとても危険だといって、しばらく飛行機に乗りたくなくなるでしょう。

 

そのため、飛行機に乗らずに車で目的地までいくかもしれません。

 

しかし実際の統計からすれば、飛行機事故に合う可能性より、交通事故に合う可能性のほうが圧倒的に高いのです。

 

早い思考はそのことを考えることができません。

 

そういった思考ができるのは、遅い思考なのです。

 

ですから早い思考だけで物事を決めるのではなく、遅い思考も使う必要があります。

 

4 まとめ

 

本書はノーベル賞経済学者が書いた上下巻にわたる読み応えのある本です。

 

しかしその内容はわかりやすく、人の意思決定のメカニズムを面白く学ぶことができます。

 

人の意思決定とか心理学に興味がある人にはとてもオススメです。

 

翻訳ビジネス書って本当におもしろいですね〜

 

オススメ度★5つ満点中

★★★

 

読みやすさ★5つ満点中

★★★★

印象にのこったフレーズ要約

小さなリスクへの対応能力が私達に欠けている。

 

アンカーはヒントとして有能だと受け手が感じるから効果を持つわけではない

 

人間は標本サイズに対してしかるべき関心を示さない

 

感情的な要素が絡んでくると、システム2はシステム1の感情を批判するよりも養護に回る傾向が強まる

 

 

 

 

 

 

  実践したい3つのポイント

  1. 自分のいまの思考がどちらの思考かしる
  2. 早い思考で失敗した経験を思い出す
  3. 感情的になったとき遅い思考がどのような働きをしたかしる

 

ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

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