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なぜ人偶然を実力と勘違いするのか?「たまたま 日常に潜む偶然を科学する」

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多くの人は何かの現象が起きた時、それを自分の力であると考えてしまいがちです。

 

しかしそれは本当なのでしょうか?

 

本書は偶然がもつ影響力と人の誤解を解き明かしてくれる一冊です。

 

 

たまたま―日常に潜む「偶然」を科学する

たまたま―日常に潜む「偶然」を科学する

 

 

1 平均回帰の原則を知る

平均回帰の原則というのは一見ランダムに見える事象においても回数が増えると平均的な結果になるというものです。

 

たとえばコインを投げてオモテがでるかウラが出るかを試してみると、長期的には両面が等しくでるという現象です。

 

このような現象にもかかわらず、生じた結果を自分の実力であると勘違いしてしまうことがあります。

 

例えば、部下がミスをして叱ったあと、よい成果を出したとします。

 

このとき上司は「自分が叱ったから良い結果になった」と勘違いしてしまい、叱ることは部下の成績を上げるのに有益だと考えてしまうのです。

 

しかし現実には、平均回帰の原則にしたがって部下がよい成績を出したに過ぎない可能性があるのです。

 

実力を信じる前に平均回帰の原則の表れではないかを疑いましょう。

 

2 人はランダムをランダムと見ない傾向がある

アップル社の製品にiPodがあります。

 

iPodには、「シャッフル」という曲をランダム再生する機能がありますが、この機能ではあえて少しだけランダムでないように曲順が変わるようにしているそうです。

 

それはなぜかというと、当初純粋にランダムにしたところ、多くの人が「これはランダムではない」と感じたからだそうです。

 

このように人はランダムな事象のなかに一定のルールを見出す傾向があります。

 

なぜかというとそのほうが安心できますし、自分が物事をコントロールしているという実感を持つことができるからです。

 

そこに事実を歪めて見てしまう危険性があります。

 

3 偶然をコントロールしようとしない

人は偶然の出来事を好まない傾向があります。

 

それよりも、自分がなにかを確実に支配しコントロールしているという実感が欲しいのです。

 

しかしそれに固執すると不幸な結果をもたらします。

 

コントロールできない偶然が存在していることを認めたうえで行動することが重要です。

 

4 まとめ

本書は偶然に関する多くの事象をわかりやすく教えてくれる一冊です。

 

世の中の出来事の多くが偶然に支配されていると共に、どのように偶然を扱えばいいのか分かります。

 

知的好奇心が旺盛な人にはオススメの一冊です。

 

 

翻訳ビジネス書って本当におもしろいですね〜

 

オススメ度★5つ満点中

★★

読みやすさ★5つ満点中

★★

印象にのこったフレーズ要約

「真のランダムネスは存在しない?」

 

  実践したい3つのポイント

  1. 今までの人生で実力で成し遂げたことを考える
  2. その事象がどのくらいの確率で起きるか考える
  3. 全く同じ誕生日の人がクラスに何人いたか思い出す

 

 

たまたま―日常に潜む「偶然」を科学する

たまたま―日常に潜む「偶然」を科学する